バラのパトロネス ジョゼフィーヌ
- 2015.05.29 Friday
- 13:40
François Gérard
Madame Bonaparte dans son salon de Malmaison
ナポレオン・ボナパルトの皇后ジョゼフィーヌがバラを愛好したことは有名なお話です。
ジョゼフィーヌは世界中からたくさんの動植物とともに250種類ものバラを取り寄せマルメゾン城に移植し、
この世の楽園と思わせる豊かな庭園を造りました。
この庭園で、ジョゼフィーヌの援助を受けた園芸家アンドレ・デュポンは、
人工交配を成功させバラの新品種を作り出していきました。
その後バラの品種改良技術は飛躍的に発展し19世紀半ばにはバラの品種数は3,000を超え、
現在も毎年新しいバラが発表させています。
また、ジョゼフィーヌの保護を受けた植物画家にピエール・ジョセフ・ルドゥーテがいます。
ルドゥーテは、マリー=アントワネットのプティ・トリアノンの庭園に出入りし
その才能を認められ王妃の蒐集室付素描画家となりましたが、
フランス革命勃発のためパリの自然史博物館付植物画家へと転身、
その後ジョゼフィーヌによりマルメゾン城への立ち入りを許され、ここでも多くの植物画を描きました。
ルドゥーテは「花のラファエロ」または「バラのレンブラント」と称されるように
たくさんの美しい植物画を残しましたが、
なかでもジョゼフィーヌの庇護のもと描かれた「バラ図譜(Les Roses)」は特に有名で、
バラの優美さを伝える精密でエレガントなタッチはいまでも多くの人の心をとらえています。
Pierre-Joseph Redouté
Les Roses
今を限りと咲くバラの美しさの中に受け継がれた歴史。
バラはその姿の優美さ、陶酔を呼ぶ香り、希少性のため、古くから権力者をも魅了してきました。
歴史の上でもこれほど深く激しく愛されてきた花があるでしょうか。
恋多き女、社交界の花となり、浪費家と言われ、
ナポレオンの遠征中、夫婦のすれ違い、そして離婚後もマルメゾン城でバラを愛し続けたジョゼフィーヌ。
彼女は埋められない心の孤独をマルメゾンの庭園で人知れず癒していたのかもしれませんね。
ヴィアローム国立ラプラージュホームページ>